里山のクヌギ林が一面の笹薮に…。
毎年何度も下刈りしても、すぐにまた生えてくる。
地域の高齢化で人手が足りず、体力も限界に近づいている。そんなお悩みを、全国の里山を守る管理者さんやボランティア団体からよく耳にします。
私たちNPO法人源流の森づくりも、源流域の森を再生する中で同じ壁にぶつかってきました。
でも、現場を歩き、生態の仕組みを振り返ると、笹薮化の根本原因は「昔の人の手入れが止まったこと」だと気づきました。
戦前まで、クヌギ林は薪・炭の大切な資源でした。
15〜30年周期で切って萌芽更新し、伐採後は明るい林床で頻繁に下草刈り。
これで笹は芽を出しにくく、勢力を広げられませんでした。
ところが戦後の燃料革命(電気・ガス・石油の普及)でクヌギの価値が急落。
定期的な伐採・下刈りが全国的にストップし、林冠が中途半端に明るいまま放置されることに。
→ 笹(アズマネザサなど)がこの「適度な光」を好み、地下茎で一気に広がる。
つまり、笹自体が悪いわけではなく、「人の管理が止まった結果、笹に有利な環境が生まれた」のです。
里山は「人の手が入ることで成り立っていた」ことを、笹薮が教えてくれているサインなのです。
毎年全面的に刈るのは、
・体力的にきつい
・人手が足りない
・費用もかさむ
高齢化が進む地域では、持続不可能になりつつあります。
このまま戦い続けると、里山はさらに荒れ、水源涵養や生物多様性も失われてしまいます。
クヌギは冬に落葉するので、冬季の林内は乾燥しやすく、笹に有利。一方、シイ・カシ・アラカシ・ヤブツバキなどの常緑照葉樹を少し混ぜるだけで、状況が変わります。
これは、里山が本来向かう潜在自然植生(常緑照葉樹林)への自然な遷移を、少し手伝うだけ。
実際に常緑樹が混じっているクヌギ林では、笹が目立たなくなり、多様な植生に戻っている例がたくさんあります。
[写真挿入ポイント1: 笹薮化したクヌギ林の林床(一面の笹で単調な様子)]
[写真挿入ポイント2: 常緑樹が混生したクヌギ林の林床(シダや低木が見え、多層的で豊か)]
伐採・更新時に、常緑樹の稚樹を残す・植える
これで「全部刈る」から「選んで残す」へシフトでき、作業負担を減らしながら里山を蘇らせられます。
私たちも、源流域でこうした混交を活かした省力的再生を進め、水源を蘇らせ、食べられる森・薬草の森づくりにつなげています。
昔の手入れが止まったことで生まれた笹薮は、里山のSOSであり、同時に「自然に寄り添った新しい管理へ移るチャンス」です。
無理に戦うのではなく、森の自然な力を借りて、手を少し添える。それが高齢化時代に持続可能な里山づくりの道です。
あなたのクヌギ林に、きっと常緑樹の小さな芽が眠っています。
まずは観察して、残してみることから始めてみませんか?
NPO法人 源流の森づくり
源流域の水源を蘇らせ、生物多様性豊かな森と里を実現する活動を福岡県を中心に展開中。
山林の寄付受付、体験イベント、薬草の森づくりなども行っています。
ウェブサイト:https://chikugogawa.com/
Instagram:@npo_genryu
ご相談・ご参加・お問い合わせお待ちしています。一緒に、未来の里山をつくりましょう!